筋肉増強剤の安全な使い方〜副作用を抑える5つの方法〜

筋肉増強剤

「筋肉増強剤は副作用があるから、一度でも使えば、一生モノの後遺症に悩まされる」というのは、単なるデマです。

ある研究によれば、8年間以上、大量のステロイドを使ってきたボディビルダーでも、1年間服用をやめれば、健康検査で健康な男性と変わらないレベルの数値が出ます。(出展1

筋肉増強剤の多くは、元々がHIV患者や骨粗しょう症、低テストステロンの患者に処方されていた医薬品。だから、正しく使えば、安全に使うことができるのです。

とはいっても、強力な効果がある反面、副作用があるのも事実です。誤った使い方をすれば、副作用に悩まされてしまうでしょう。

そこで、筋肉増強剤を安全に使う秘訣について徹底的に解説したいと思います。

1.適切な量・期間を守る

Stethoscope

筋肉増強剤を使うと、大量の男性ホルモンが体内にあふれます。短期間なら良いのですが、長期間、外部からホルモンが供給されると、睾丸が「外部からホルモンが来るから、新しくホルモンをつくる必要はないな」と判断して、活動を止めてしまいます。

これが長期間続くと、良くありません。したがって、適切な期間・量を守って使うべきです。

適切な期間を守る

注射剤

身体への負担が少ない(肝臓への負担がない)注射の筋肉増強剤は、12週間〜16週間を目安に利用しましょう。

健康な男性61人に20週間まで投与した臨床研究があり、この研究では大きな副作用は発症していませんので、理論的には20週間まで可能です。(出展2

ただし、上記の研究は医者のコントロール下で行われているので、ボディビル目的でやる場合は、できれば12週間。最大でも、16週間までを目安にします。

経口剤

経口の筋肉増強剤は、肝臓に負担をかけるものがほとんどです。したがって、あまり長期間の利用は推奨できません。

老人を対象に12週間ボディビル目的で使う量の2倍の量を投与している臨床研究があるので、12週間までは可能といえるでしょう。(大きな副作用はなし)(出展3

なお、医療目的では、HIVの患者に30週間、血液透析の患者に24週間、ボディビル目的で使うのと変わらない量を投与した研究もあります。これらの研究では、重篤な副作用は一例も発症していません。

ただ、上記の研究はあくまで医療目的であるため、ボディビル目的で使う場合は、8週間〜12週間までの利用を目安にします。

適切な量を守る

適切な量を守って使いましょう。「多ければ多いほど良い」わけではありません。短期間で発達させられる筋肉には限度があるので、一定以上を超えて筋肉増強剤の量を増やしても、効果は倍とはなりません。(副作用は旺旺にして倍になってしまいますが)

たとえば、オキシメトロンというアナボリックステロイドをHIVの患者に30週間投与した研究では、100mg群投与グループと150mg投与グループでは、100mgグループの方が体重が増加し、かつ、副作用もずっと少なかったのです。出展4

この例からもわかるように、多ければ多いほど良いわけではないのですね。適切な量を理解して、使用しましょう。

適切な量は、筋肉増強剤によって異なるので、それぞれの記事をチェックしてください。

2.女性化乳房が起きた時に備える

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女性化作用が起きる仕組み

筋肉増強剤を使うと、筋肉をつくるためのホルモンである男性ホルモンが増えます。増加した男性ホルモンの一部は、「アロマターゼ」という酵素によって、女性ホルモンに還元されます。結果、体内の女性ホルモンのレベルまで上がってしまうのです。

増加した女性ホルモンが乳房のレセプターと結びつくと、女性化乳房が起こってしまいます。

ただ、あまり頻繁に起きる副作用ではないので、それほど神経質になる必要はありません。先ほど紹介した健康な男性61人に20週間筋肉増強剤を使った研究では、誰一人この副作用を発症していません。

ノルバデックスで過剰エストロゲンの働きを阻害しよう

ただ、ホルモンへの感受性は、人によって異なります。反応しやすい人もいれば、しない人もいる。自分がどちらかはわかりません。女性化乳房が起きてしまった場合、整形手術で治すしか無く、コストが非常にかかります。

なんとしても防がなければならない副作用といえるでしょう。

この副作用を防ぐには、ノルバデックスという薬剤を使います。ノルバデックスは、女性ホルモンのレセプターに優先的に結びつき、エストロゲンが女性ホルモンのレセプターと結びつくのを妨害し、女性化作用を防ぐことができます。

ノルバデックスを使えば、女性ホルモンの働きを妨害できるので、女性化乳房の心配はありません。

3.肝臓を保護する

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経口で摂取するアナボリックステロイドは「17αアルキレート加工」という肝臓に負担をかける化学加工が施されています。この化学加工によって、経口ステロイドは肝臓に負担をかけてしまいます。

肝臓には自己再生能力がある

「肝臓に負担をかける?怖すぎ!」と感じるかもしれません。しかし、あまり心配する必要はありません。

3ヶ月休んだら、完全に肝臓が回復した

筋肉増強剤(経口)を常用していたボディビルダーに3ヶ月間服用を休んでもらい、健康的なボディビルダー(筋肉増強剤なし)と肝臓の状況を比較した研究があります。(出展5

すると、筋肉増強剤を使っていた人の肝臓の状況も、健康的なボディビルダーの肝臓の状況も変わらず、どちらも健康的な数値を示したのです。つまり、3ヶ月の休養で、肝臓は完全に回復したということです。

70%削除しても4ヶ月後には元に戻る

なぜこんなすぐに回復するのか?肝臓は人体で最も自己再生能力が高い臓器だからです。手術で70%ほどを切除しても、4ヶ月後には元に戻るほどです。

だから、筋肉増強剤による負担程度なら、すぐに回復できるのですね。

肝臓の再生能力を向上させ、肝臓を保護する「シリマリン」

ただし、多少なりとも負担をかけるのは事実です。肝臓はできるだけいたわらなければなりません。

そこで、オススメなのが「シリマリン」というサプリメントです。シリマリンは古来より肝臓保護の目的で使われていたハーブですが、臨床的な研究により、肝臓保護において非常に高い効果を持っていることがわかりました。例をあげると、

  • 肝臓の細胞を破壊するタマゴテングダケ中毒者の致死率を、往来の治療と比べ、半分に低下させた
  • アルコール肝炎の死亡率を有意に低下させた
  • 肝臓関連疾患の死亡率を有意に低下させた

これらの例が報告されています。シリマリンをベースにした医薬品の研究が進められるなど非常に注目されている成分です。

肝臓に負担をかける筋肉増強剤のサイクル中にはぜひ使いたいサプリメントです。

4.DHT作用に備えておく

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筋肉増強剤を使っている最中は、DHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンが増えてしまいます。

男性ホルモンの一部が、「5αリダクターゼ」という酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。だから、男性ホルモンが増える筋肉増強剤使用中は、DHTまで増えてしまうのです。

ハゲやニキビを引き起こす「DHT」

DHT(ジヒドロテストステロン)は、大人ニキビや男性型脱毛症、前立腺肥大を引き起こすホルモンとして知られています

男性型脱毛症も前立腺肥大も長年の蓄積が問題になるものなので、現在、これらの症状が起きていない人は、あまり心配する必要はありません。

ただ、現在既に、男性型脱毛症や前立腺肥大症をかかえている人は、筋肉増強剤の使用が症状を進行させてしまう可能性があるので注意が必要です。

DHTを抑えるフィナステリド

現在、男性型脱毛症や前立腺肥大症、大人ニキビで悩んでいる人は、これ以上症状を進めないために「フィナステリド」という薬剤をおすすめします。

これは、男性ホルモンをDHTに変換する「5αリダクターゼ」という酵素の働きを邪魔する薬です。5αリダクターゼが働かなく慣れば、DHTが増える心配がなくなり、上記の副作用が起こらなくなります。

5.オフ期間で男性ホルモンを回復させる(重要)

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男性ホルモンの分泌量が低下する

筋肉増強剤において、最も確実に起きる副作用が「男性ホルモンの分泌量低下」です

筋肉増強剤によって、外部から大量の男性ホルモンが入ると、身体が「もうこれ以上男性ホルモンをつくる必要はないな」と判断して、男性ホルモンの生成をやめてしまうのでしたね。

これは筋肉増強剤を使うと、ほぼ確実に起こる副作用です。

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これはナンドロンという、副作用が少ない部類の筋肉増強剤を12週間投与した後のホルモンのレベルを示したグラフです。非投与グループは、男性ホルモン(テストステロン)のレベルに変化がないのに対して、ナンドロン投与グループは最初の50%程度まで低下してしまっています。

これは筋肉増強剤を使う以上、ほぼ確実に起こる副作用です。どの筋肉増強剤でも例外ではありません。

クロミッドで男性ホルモンを回復させよう

もちろん、筋肉増強剤が身体から抜ければ、自然に男性ホルモンの生成は回復します。しかし、それには少し時間がかかります。低テストステロン状態では、筋肉を維持することが難しいため、できるだけ速く男性ホルモンの生成を回復させなければなりません。

男性ホルモンを回復させるためには、クロミッドという薬剤を使います。これは女性用の排卵誘発剤ですが、男性に使うと、精巣の働きを活性化する作用があるとわかっています。

以下は、ステロイドの濫用(通常の10倍以上の量を使用)したせいで、勃起不全になったビルダーにクロミッドを使用した時のホルモンレベルを示すグラフです。

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短期間で男性ホルモンが一気に回復しているのがわかりますよね。クロミッドの服用をやめた後も「Potent(勃起可能)」の状態が継続しています。

このように、クロミッドを使えば、ステロイドを濫用してホルモンサイクルが狂ったボディビルダーでも、男性ホルモンの分泌を回復することができます。

筋肉増強剤を恐れる必要はない

「筋肉増強剤には恐ろしい副作用がある」と感じている人が多いのではないでしょうか?

しかし、今まで見てきたように、8年間服用を続けても、1年休めば、普通の健康な男性と変わらないレベルまで健康に戻ります。

また、肝臓への負担も、3ヶ月安めば、完全に回復するレベルです。

そもそも、アナボリックステロイドの中で、最も身体への負荷が強いといわれるオキシメトロンでも、HIV患者に30週間、血液透析の患者に24週間も投与できるのです。身体への負担は、言われているより、ずっと低い。なぜか?オキシメトロンは認可された医薬品だからです。

巷で言われているような重篤な副作用があれば、そもそも、そんなものは認可されませんし、仮に、認可されても認可が取り消されてしまいます。いかに、「アナボリックステロイドには一生ものの副作用がある」という言説が馬鹿げているかがわかると思います。

正しい使い方を理解して、筋肉増強剤を使いましょう。