アナボリックステロイドは「筋肉がつきやすい状態」をつくることはできますが、それだけでは、十分な筋肥大は望めません。
アナボリックステロイドの効果を最大化するには、トレーニングによって筋肉にストレスを与え、筋肥大を促進する必要があります。
適切なトレーニングプロトコルを選び、アナボリックステロイドの効果を最大化するための、トレーニングのやり方を詳しく解説いたします。
高頻度で刺激しよう
まず、一番大事なポイントは「高頻度で刺激する」ことです。最低でも、同部位週2回は刺激したいところです。
アナボリックステロイドのサイクル中は、タンパク質の同化速度が飛躍的に向上し、筋肉の回復速度が高まります。そのため、高頻度でトレーニングをしても、オーバートレーニングになりません。
科学でわかった「最適なトレーニング頻度」とは?
科学的な研究も、高頻度なトレーニングが筋肥大に効果的であると証明しています。
トレーニングの頻度と筋力・筋肥大の関係を調べたメタアナリシス(関連する論文をまとめて分析する研究。様々な研究の成果が統合されるため、科学的な信頼性が高い)によれば(出展1)、ベストなトレーニング頻度は、
- 初心者は週3回のトレーニング
- ベテラン(1年以上のトレーニング経験あり)は週2回
がその筋肥大の効果を最大化できるようです。ボディービルのチャンピオンである、ロニー・コールマンやアーノルドシュワルツェネッガーも、週二回のトレーニングプロトコルを使用していました。
アナボリックステロイドの効果を最大化するために、同部位を週2回刺激できるようなプロトコルを選択しましょう。
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高頻度で刺激するための分割法
初心者は「ベンチプレス5/デッドリフト5/スクワット5/カール等を2〜3セットずつ」を週3回やれば良いのですが、ベテランはそうもいきません。
4〜5分割はやめておこう
筋肉を刺激するために、ある程度のボリュームが必要で、それを1日の間にこなすのは難しい。したがって、分割法を取り入れることになります。
では、どんな分割法が良いのか?まず、4〜5分割はやめましょう。というのも、最も効果が得られるのは、同部位週2回なので、4〜5分割では、どうしても低頻度でしかトレーニングができないからです。
しかし、二分割では、一つ一つの筋群に集中しにくい。そこで、三分割のトレーニングをオススメします。具体的な例として、特に、腕や肩の発達を重視する人にオススメなのが以下のルーティンです。
腕・肩が抜群に発展する三分割ルーティン
- A…胸・三角筋前部・二頭
- B…脚・三角筋側部・腹筋
- C…背中・三角筋後部・三頭
- D…OFF
A,B,Cは、胸・脚・背中の大筋群で分けます。上半身を休ませるため、胸と背中の間に、脚を入れましょう。
三角筋のトレーニング、特にレイズ系は、他の筋頭への刺激が弱いため、「火サイドレイズ」「水リアレイズ」とやっても、オーバートレーニングにはなりません。肩を3日に分けてトレーニングするので、じっくり時間をかけて肩を発達させられます。
胸の後に三頭、背中の後に二頭をやると、胸や背中のトレーニングのせいで疲れが残り、フレッシュな状態で刺激できません。そのため、胸の日に二頭、背中の日に三頭を行います。
胸の時に間接的に三頭を、背中の時に間接的に二頭を刺激できるので、3日間の間に2回も腕を刺激可能です。腕の筋肉は回復が早いので、このルーティンでもオーバートレーニングにはなりません。
このルーティンをA→B→C→Dと繰り返せば、8日の間に2回、同部位を刺激できます。
複合間接種目を中心に取り入れよう
筋力トレーニングの種目は、大きく二つに分かれます。複合間接種目(コンパウンド)と単関節種目(アイソレーション)です。
複合関節種目と単関節種目の違い
複合関節種目とは、たとえば、ベンチプレス、ショルダープレス、ラットプルダウン、デッドリフト、スクワットのように複数の関節が関与する種目です。
単関節種目とは、レッグエクステンション、ダンベルフライやアームカール、プレスダウンのように、複数の関節が関与せず、ひとつの筋群のみを集中して刺激する種目のことを指します。
アナボリックステロイド使用中は複合種目を
筋肉を効率的に増やしたいなら、複合関節種目を多めに取り入れましょう。複合関節種目は、重量を扱うことができ、複数の筋肉を同時に刺激することができます。アナボリックステロイドのサイクル中は、筋肉の反応がよくなっているので、複数関節種目をとりいれることで、全身の筋肉を効率よくバルクアップできます。
以下は、複合間接種目を多めに取り入れたルーティンの例です。
胸
- ベンチプレス…3
- インクラインベンチプレス…3
- ディップス…3
- ダンベルフライ…3
基本は、複合間接種目で力学的な刺激を筋肉に与え、仕上げにダンベルフライで筋肉を追い込みます。
背中
- チンニング…3
- アンダーリップチンニング…3
- ワンハンドロー…3
- Tバーロー…3
- スナッチグリップデッドリフト(脚の後にやる場合は、トップサイドデッドリフトでも可)…3
全て複合間接種目のルーティンです。チンニングは、不安定な状態で行うエクササイズのため、バランスをとるために様々な筋肉を働かせる必要があります。そのため、背中の多くの筋肉を効果的に刺激することができます。
「バーベルローは?」と思うかもしれません。バーベルローは、フォームの習得が難しいこと、チートしやすいこと、ワンハンドローより可動域が狭いこと…などの理由から、多くの人にとってはワンハンドローの方が有益なエクササイズだと考えています。
脚
- フルスクワット…3
- ナロースタンス・レッグプレス…3
- ワイドスタンス・スミスマシン・フルスクワット…3
- ブルガリアンスクワット…3
全て複合間接種目のルーティン。スクワットは、下半身の筋肉を総動員する「トレーニングの王様」です。スクワットさえしっかりやっていれば、下半身は十分といえるほど。
このルーティンでは、様々なスクワットの形態をとりいれ、効果的に下半身を追い込むことができます。レッグカールやエクステンションがありませんが、しっかりしゃがむスクワットをしていれば、どちらも不要です。
(出展1) A meta-analysis to determine the dose response for strength development.