経口で摂取できるステロイドは、気軽に使えますが、肝臓に負担をかける化学構造をしているものがあります。
効果的なステロイドである、ダイアナボル、オキシメトロン共に、肝臓へ負担をかける構造を持っています。
肝臓は重要な臓器ですから、できるだけ負荷をかけたくありませんよね。そんな時に役に立つのが「シリマリン」というサプリです。
シリマリンは、肝臓疾患の患者の死亡率を有意に改善するなど、気休めのサプリとは段違いの肝臓保護の効果があります。
この記事では、「なぜアナボリックステロイドを使うと、肝臓に負担をかけるのか?」「シリマリンにはどれだけの効果があるのか?」を詳しく解説していきたいと思います。
アナボリックステロイド服用中は肝臓の数値が悪化する
経口アナボリックステロイドの多くは、17αアルキレート加工がなされています。これは肝臓に中々ろ過されないための化学的加工です。肝臓に長く留まるため、それだけ肝臓に負荷をかけてしまいます。
肝臓へのダメージはすぐに回復する
もちろん、致命的な影響にはなりません。ボディービルダーを対象にした研究では、経口ステロイドを使用しているボディービルダーでも、3ヶ月投与をやめれば、健康な男性と変わらない肝臓数値(ALT/AST)が出ます。
出展:Body composition, cardiovascular risk factors and liver function in long-term androgenic-anabolic steroids using
肝臓には高い自己再生能力がある(手術で7割を切除しても4ヶ月後には元の大きさに戻る)ため、多少のダメージなら、すぐに復帰できるのです。
とはいっても、肝臓へ毒性があるのは事実です。健康を維持するためには、できるだけこの肝臓への負担を減らさなければなりません。
アナボリックステロイド服用中の肝臓保護サプリメントとして、非常に効果的なのが「シリマリン」です。
シリマリンの効果とは?
シリマリンはどんなサプリメントなのか?
シリマリンは、マリアザミという植物の種子を抽出したサプリメントです。古来より、肝臓保護のハーブとして使われてきました。
近年の研究で、シリマリンは、単なる気休めのハーブではなく、肝臓保護において高い能力を持っていることがわかってきています。
シリマリンを投与すると、肝臓のタンパク質合成が飛躍的に高まり、肝細胞の転写が盛んに行われるようになります。この働きにより、ダメージを受けた肝臓が再生するのを助けることができます。
アナボリックステロイド服用中は、肝臓に負担がかかるので、肝臓細胞の再生をうながすシリマリンはうってつけのサプリメントといえるでしょう。
シリマリンの効果を示す研究事例
シリマリンの肝臓への効果については、その効果を実証する研究が様々あります。ここでは、その一部をご紹介しましょう。
タマゴテングタケ中毒者の死亡率を著しく下げた事例
タマゴテングタケは、細胞の再生能力を低下させ、特に、肝臓や腎臓の細胞を死に至らしめる、毒性の高いキノコです。
標準的な治療では、タマゴテングタケ中毒の死亡率は、18.3%ですが、シリマリンを摂取した場合、死亡率は9.8%まで低下します(出展1)
これは、肝臓の自己再生能力を高めるシリマリンの作用が影響していると考えられます。シリマリンの肝臓保護能力は、最も危険な毒キノコの一つであるタマゴテングタケにも対抗しうる力があるのです。
肝臓関連疾患の死亡率を低下させる
また、シリマリンには、肝臓関連疾患の死亡率を有意に(-7.9%)下げる効果も認めらています。(出展1)その他にも、アルコール性肝炎の治療においても、成果が認められています
薬剤として使用することを提案する論文も
上記のような効果から、「シリマリンを医薬品として使ってはどうか?」と提案する論文もアルほどです(出展2)
この論文によれば「シリマリンは、抗ウィルス能力はないものの、肝臓の自己再生能力を高め、炎症を制御する能力があるので、医薬品としての使用にも耐える」と述べられています。
シリマリンの副作用は?
シリマリンは、どの臨床試験においても、高い安全性を示しており、副作用の心配がなく使えるサプリメントの一つです。胃腸障害やアレルギー性皮膚炎のまれな副作用が報告されているのみで、これらの副作用の率は、有意なレベルではありません。
したがって、副作用の心配はなく摂取できるサプリメントといえるでしょう。経口アナボリックステロイドの服用中には、必ず飲みたいサプリメントです。
シリマリンの飲み方は?
1日200〜400mgを1日2〜3回にわけて摂取します。たとえば、140mgのタブレットを1日2回とる…という具合です。
肝臓への負荷がある経口ステロイドを使用している時には、必ず手元に置いておきたいサプリメントです。