テストステロン・エナンセートは、男性ホルモン(テストステロン)の同位体です。人工的につくりだしたテストステロン(男性ホルモン)を体内に投与することで、テストステロンのレベルを大幅に引き上げる効果があります。
テストステロンには、筋肉をつくったり、骨をつくったり、男性化(二次性徴など)の作用があります。テストステロンの濃度を高めることで、筋肉ができやすい状態をつくることができます。
テストステロン・エナンセートは医薬品として開発され、現在でも、低テストステロン症の患者や、二次性徴が起こらない少年などに処方されています。
ボディビルの現場でも、最もスタンダードなステロイドの一つです。この記事では、テストステロン・エナンセートの筋肉増強の効果や、副作用、使い方について詳しく解説していきます。
テストステロン・エナンセートの効果は?
健康な男性61人に20週間にわたって、テストステロン・エナンセートを投与した研究があります。グループは5つに分けられ、それぞれ25mg,50mg,125mg,300mg,600mgを投与されました。※出展1
結果が以下のグラフです。左から25,50,125,300,600mgの投与の結果です。
- 25mg…0.4kgの増加
- 50mg…1.1kgの増加
- 125mg…2.9kgの増加
- 300mg…5.5kgの増加
- 600mg…8.9kgの増加
このように、600mg投与群では、20週間で8.9kgの筋肉量増加と大幅な増加を記録しています。低投与グループ25mgと比べると、20倍以上、結果に差があるわけです。
ナチュラルでトレーニングをしても、1年間で付けられる筋肉は2〜3kg程度です。しかし、テストステロン・エナンセートを使えば、短期間で9kg近くの筋肉を増やすことができるのですね。
また、300mg以上のグループでは、体重が増えているにも関わらず、体脂肪は減少しています。これは、テストステロンがリボ蛋白リパーゼを刺激し、体脂肪を燃焼させる効果があるからです。
このように、テストステロン・エナンセートには、圧倒的な筋肉増強の効果があります。
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テストステロン・エナンセートの副作用は?
テストステロン・エナンセートは、アナボリックステロイドの中でも非常に強力な部類に入ります。なにせテストステロンそのものですから。男性化作用も強い
ただ、テストステロンそのものが体内に大量に増えれば、当然、その反動として副作用が起こります。テストステロン・エナンセートは、アナボリックステロイドの中でも副作用が強い部類に入るため、十分に注意しなければなりません。
男性ホルモン(テストステロン)の生成減少
テストステロン・エナンセートを服用すると、体内のテストステロン生成が大きく減少します。大体、通常時の40%〜50%まで減少してしまうのです。
なぜか?外部から大量のテストステロンが補充されると、身体が「もう十分テストステロンがあるから、これ以上テストステロンをつくる必要はないだろう」と判断して、テストステロン生成を減らしてしまうからです。
これは、テストステロン・エナンセートを使えば。ほぼ確実に起こる副作用です。
もちろん、体内からステロイドが抜けるにつれ、ホルモンの生成は回復します。ただ、少し時間がかかります。
すぐに回復させるには、「クロミッド」という排卵誘発剤が有効です。
女性化乳房
大量のテストステロンの一部は、「アロマターゼ」という酵素によって女性ホルモンに還元されます。結果、ステロイドサイクル中は、女性ホルモンのレベルまで上がってしまうのですね。
大量の女性ホルモンが乳房に結びつくと、女性化乳房が起きてしまいます。
この副作用を防ぐには、「ノルバデックス」という薬剤が有効です。
男性型脱毛症
男性型脱毛症は遺伝性です。既に男性型脱毛症が進行している人は、テストステロン・エナンセートの使用がそれを悪化させてしまう可能性があります。
テストステロンの一部は、「5αリダクターゼ」という酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)というホルモンに還元されます。
ジヒドロテストステロンは、ハゲや大人ニキビ、前立腺肥大症を引き起こすホルモンです。
テストステロン・エナンセートは体内のテストステロンレベルを大幅に引き上げるので、同時に、DHT(ジヒドロテストステロン)の量まで増えてしまうのですね。大量のジヒドロテストステロンは、男性型脱毛症や前立腺肥大症を促進してしまう恐れがあります。
コレステロール値の悪化
これは使用をやめればすぐに回復しますが、テストステロン・エナンセートを利用すると、血中のコレステロール値が悪化することがわかっています。
HDLコレステロール(善玉)が減少し、LDLコレステロール(悪玉)が増加します。これはほぼ確実に起こります。
テストステロンエナンセートの安全な使い方は?
使用期間は?
実験では、健康な男性に20週間まで投与しているものがあります。低テストステロンの男性には、より長期間投与することもあり、20週間までなら安全に使えるでしょう。
ただ、既に述べているように、アナボリックステロイドの利用は、ホルモンの生成に負の影響を与えてしまいます。あまり長期間、利用するのは避けたいところです。
できれば、12〜16週間までに留めたいところです。
使用量は?
研究では、500〜600mgが最も成果をあげています。600mg使えば十分な効果が得られるでしょう。逆に、250mg以下では、満足のいく結果が得られません。
使用後のケア
既に述べているように、テストステロン・エナンセートを利用した後は、男性ホルモンの生成が減少してしまいます。
男性ホルモンの減少を素早く回復させるために、クロミッドを使いましょう。クロミッドを使えば、素早く男性ホルモンを元のレベルまで回復させられます。