クロミッド(成分名:クロミフェン酸)は、ステロイドサイクル後に低下した男性ホルモンの分泌を回復させる目的で使用するケア剤です。
クロミッドは、元々は、女性用の排卵誘発剤として使用されてきました。ただ、近年の研究で、男性の睾丸機能を活発にさせる働きを持つこともわかってきました。※出展1
ステロイドサイクル後には、男性ホルモンの分泌能力が低下するので、クロミッドを使って、早急に男性ホルモンの分泌能力を取り戻さなければなりません。
この記事では、「なぜステロイドサイクル後に、テストステロンの分泌が低下してしまうのか?」「クロミッドにはどんな作用があるのか?」「クロミッドをどんな風に摂取すればいいのか?」など、アナボリックステロイドを使う人が気になるポイントを詳しく解説していきます。
ステロイドサイクル中に必ず起きるホルモンの減少
ステロイドを使うと、ほぼ確実に起きるのが「男性ホルモンの生成能力の減少」です。
まず、「なぜアナボリックステロイドを使うと、その後、体内のテストステロン値が低下してしまうのか?」そのメカニズムを説明していきます。
アナボリックステロイドは、男性ホルモンの同位体です。アナボリックステロイドという形で、外部から男性ホルモンを採り入れることで、体内の男性ホルモン濃度を何倍にも高め、筋肉がつきやすい状態にする、これがアナボリックステロイドで筋肉がつく仕組みです。
外部から大量の男性ホルモンが投与されると、身体がホルモンをつくるのをやめてしまう
ただ、身体には「身体を一定の状態に保とうとするバランス維持機能(ホメオスタシス)」があります。たとえば、体温があがりすぎたら、発汗して体温を下げる…これが身体のバランス維持機能です。
外部から大量に男性ホルモンが投与されると、身体は「なんだ、男性ホルモンが十分にあるじゃないか。これなら新しく男性ホルモンをつくる必要がないな」と男性ホルモンの生成をやめてしまうのですね。
このように、アナボリックステロイドによって大量に男性ホルモンが増えると、その反動として、身体が男性ホルモンを生成するのをやめてしまうのです。
通常時の半分以下のテストステロン値になってしまう
上の表は、老人に3ヶ月間、アナボリックステロイドのデカデュラボリン(成分名:ナンドロン)を投与した研究のデータです。左側がステロイド投与グループ、右側が非投与グループです。
投与グループは、投与前に比べて、男性ホルモン(テストステロン)の値が半分以下に低下してしまっているのがわかるかと思います。このように、ステロイドを使えば、その反動として、必ず、テストステロンの値が低下してしまいます。
男性ホルモンを回復させる!クロミッドの作用
ステロイドサイクルを終えた後の、あなたのテストステロン値は、平常時に比べて、大幅に低下しています。ステロイドが抜ければ、テストステロンの生成は自然に回復しますが、それには時間がかかります。
テストステロンが低い状態が続くと、筋力が低下し、筋量が減少し、せっかくステロイドサイクル中に手に入れた筋肉が水の泡になります。
そこで、役に立つのが、女性の排卵誘発剤として使用されているクロミッドです。クロミッドを使えば、すぐに男性ホルモンのレベルを回復させることができます。
クロミッドの作用
では、クロミッドがどのようにして、減少してしまったテストステロンの生成を促すのか?そのプロセスを解説していきます。少し専門的な説明になりますが、大事なポイントなので、ついてきてくださいね。
まず、クロミッドは、体内にあるエストロゲン受容体と優先的に結びつき、エストロゲンがエストロゲン受容体と結びつくのを妨害します。これにより、エストロゲンが十分に働けなくなってしまいます。
エストロゲンが働くなっているのを脳が察知すると、性腺刺激ホルモンGn-RHを分泌し、脳下垂体(ホルモンの生成工場)に「FSHホルモン」「LHホルモン」を分泌するよう促します。
このFSHホルモンとLHホルモンは、女性の場合は、卵巣の活動を促進し、男性の場合は、精巣(睾丸)の活動を促進し、ホルモンの生成を促します。
FSHホルモン・LHホルモンにより、精巣の働きが活発化し、テストステロンの生成を再開します。これにより、ステロイドサイクル後に低下していたテストステロンの生成が速やかに元のレベルに戻るわけです。
クロミッドの効果はどのくらい?
クロミッドは、低下したテストステロンを回復させるのに大きな効果があります。
性腺機能不全症の男性にクロミッドを4ヶ月間投与した研究があります。※出展1
結果が以下のグラフです。左側が投与前、右側が投与後のテストステロンの値です。
遊離テストステロンのレベルが投与前と後で2倍以上増えているのがわかると思います。
このように、クロミッドはFSH・LHホルモンの生成を促し、睾丸の働きを活発化させ、テストステロンを大幅に増やす効果があります。
クロミッドを使えば、ステロイドにより低下したテストステロンのレベルを素早く回復できます。
クロミッドによりホルモンクラッシュから回復した事例
さらに、クロミッドがどれだけ効果的なのかを見ていきましょう。
これは、オキシメトロンを1日520mg(一般的なサイクルの10倍の量)、テストステロンを週1300mg(一般的なサイクルの2.5倍)と、大量のステロイドを使用したせいで、体内のホルモンバランスが狂い、正常に男性ホルモンを分泌できなくなり、インポテンツになってしまったボディービルダーの症例です。※出展2
図の左側(クロミッド投与前)は、睾丸の活動を促すFSHホルモンやLFホルモンがほとんど働いておらず、テストステロン値もとても低くなってしまっています。
ところが、クロミッドを1ヶ月間投与したところ、FSHホルモン・LHホルモンが急激に増加し、テストステロンの値も最初の3倍近くまで戻っています。
その後、投薬をやめた後も、テストステロン値は、20代としては平常なレベルにまで回復しています。
正直いって、オキシメトロン520mgの摂取は異常な量です。ホルモンバランスが狂って当然のレベル。しかし、それでもクロミッドを摂取すれば、通常のレベルまでテストステロンの分泌を戻すことができるわけです。
クロミッドの副作用
クロミッドの副作用は、卵巣の脹れ・倦怠感・焦燥感・ほてりなどです。しかし、これは、主に女性にあらわれる副作用です。女性の場合、クロミッドは、女性ホルモンの働きをほぼ無効化してしまうので、体内のホルモンバランスが崩れ、更年期障害のような作用が置きてしまうわけです。
178人の男性にクロミフェンを投与した研究では、男性に目立った副作用は報告されていません。
クロミッドのサイクル
クロミッドは、ステロイドサイクルの終了後に摂取します。
経口の場合は、摂取を終えたら、1日あけて、すぐにクロミッドの摂取を開始します。
注射でアナボリックステロイドを入れていた場合は、サイクル終了後、3週間たってから、クロミッドの利用を開始します。注射によってとっている場合、血中半減期が長いので、抜けきるまで3週間の期間が必要なのです。
サイクルは、1日50mgを4週間摂取します。
ちなみにジェネリックもあります
クロミッドは決して安くはないので、「もう少し安くならないの?」と思う方もいるかもしれません。そんな方には、クロミッドジェネリックをオススメします。ジェネリック医薬品のため、有効成分・量は同じす。したがって、効果も同じです。コストを抑えたい方はジェネリックを利用しましょう。
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