ヒト成長ホルモン(Human growth hormone)は、脳下垂体から分泌されるホルモンです。ヒト成長ホルモンは、肝臓に働きかけ、IGF-1(インスリン様成長因子)を分泌させます。IGF-1は、体内のタンパク質合成を促進し、筋肉がつくりやすい環境を整えることができます。
ボディビルでは、非常によく使われるステロイドですが、実際にはどんな効果があるのかが?詳しく見ていきましょう。
ヒト成長ホルモンの筋肉への効果は?
ヒト成長ホルモンは、IGF-1に働きかけ、筋肉の合成を促進します。それだけではなく、体脂肪を燃焼させる働きまで持っています。よく「若い頃は食べても太らなかったのに」というのは、若い頃は成長ホルモンが豊富だからです。
つまり、成長ホルモンには「筋肉を増やし、脂肪を燃やし、引き締まった身体をつくる力がある」わけです。
筋肉を増やし、脂肪を燃やす
65歳-82歳の男性を対象に14週間、ヒト成長ホルモンを投与した研究では、14週間後、ヒト成長ホルモンを投与したグループは、筋肉量(除脂肪体重)が増え、体脂肪が減り、体脂肪が低下していました。一方、投与していないグループは、ほとんど変化がありませんでした。(出展)
タンパク質の合成を促進する
健康な男性にヒト成長ホルモンを投与し、6時間後のタンパク質の合成反応を調べた研究では、ヒト成長ホルモンを投与したグループは、有意にタンパク質の合成が促進されていました。(出展2)
ただし、他のアナボリックステロイドと違い、「若い男性に投与しても、比較群と目立った違いはなかった」などの研究成果もあることから、他のアナボリックステロイド(筋肉増強剤)ほどの効果はないといえます。
では、副作用はどうでしょうか?
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ヒト成長ホルモンの副作用は?
ヒト成長ホルモンは、いわゆるアナボリックステロイドに比べると副作用が小さいです。
というのも、ヒト成長ホルモンには「ネガティブフィードバック」がないからです。男性ホルモンであるテストステロンが増えすぎると、睾丸が「もうこれ以上、生成する必要はないな」と判断して、機能を止めてしまい、睾丸が萎縮してしまいます。これを「ネガティブフィードバック」といいます。
ヒト成長ホルモンを分泌する経路には「ネガティブフィードバック」が働かないため、ヒト成長ホルモンを使っても、アナボリックステロイドのような副作用は起きません。
内臓肥大には気をつけよう
ただし、ヒト成長ホルモンにも副作用はあります。それが「内臓肥大」です。
インスリン様成長因子は、筋肉だけでなく、内蔵にも働いてしまい、内臓を「成長」させてしまいます。結果、筋骨隆々の男性にもかかわらず、妊婦のような肥大したお腹になってしまうのです。どれだけ減量をしても、お腹がへこむことはありません。
ヒト成長ホルモンは超上級者向き
ヒト成長ホルモンは、あらゆるステロイドの中でも、最も高価です。36iuで3万円ほどします。一般的な使用法では、1日あたり2iuを注射するので、半月あたりで3万円もしてしまうわけです。
1ヶ月6万円もステロイドに使える人は、プロ以外にはあまりいないはず。また、効果もアナボリックステロイドと比べれば低いので、使うとしても優先順位は低くなってしまいます。
あらゆるステロイドを打ち尽くした、上級者向けのステロイドといえるでしょう。