アナボリックステロイドの副作用「女性化乳房」を防ぐ方法

アナボリックステロイドで警戒するべき作用として、乳房が女性のように膨らんでしまう「女性化乳房」があります。筋肉で盛り上がった身体に、ぽっちりと女性のように膨らんだ乳房があると、とても不格好です。

なんとしてでも避けなければならない副作用といえるでしょう。この記事では、「なぜ女性化作用が起きてしまうのか？」「女性化乳房を防ぐにはどうすればいいのか？」を徹底的に解説していきます。

なぜ女性化が起きてしまうのか？

まず、なぜ、アナボリックステロイド服用中に、女性化乳房が起きてしまうのかを考えていきましょう。以下の図説を見てください。

ほとんどのアナボリックステロイドは、テストステロン（男性ホルモン）の同位体（男性ホルモンのような働きをする、人工的につくられたホルモン様物質）です。

体内では生成できない量を外部から採り入れるので、体内の男性ホルモンの濃度が非常に高くなり、筋肉がつきやすい状態になるわけです。

しかし、体内には「アロマターゼ」という酵素があります。「アロマターゼ」には、テストステロン（男性ホルモン）をエストロゲン（女性ホルモン）に置換する働きがあります。

この「アロマターゼ」の働きによって、アナボリックステロイドの服用によって増えたテストステロンが、エストロゲンに変換され、体内のエストロゲン値まで高まってしまうのです。

大量のエストロゲンが乳房にあるレセプターと結びつき、女性化作用が起きてしまうのですね。

では、どうすれば防げるのでしょうか？

では、どうすれば女性化作用を防げるのでしょうか？方法は二つあります。

まず、最初に抗エストロゲン剤のノルバデックスを使用する方法です。抗エストロゲン剤とは、進行性の乳がんを防ぐための薬です。エストロゲンは、乳がんを進行させる働きを持っているので、それを防ぐ目的で開発されました。

ノルバデックスは、体内にあるエストロゲンのレセプターに優先的に結びつき、エストロゲンの働きを邪魔します。体内にあるレセプターと結び付けなかったエストロゲンは、機能を発揮することができず、女性化作用を引き起こせなくなります。

簡単にいえば「エストロゲンが結びつくべき場所に蓋をしてしまう」働きを持った薬剤です。これを使えば、ステロイドサイクル中の女性化作用を押さえることができます。

より強力な方法としては、アンチアロマターゼ剤のアリミデックスを使用する方法があります。アンチアロマターゼ剤も、同じく進行性の乳がんを防ぐ目的で開発されました。

先ほど「体内のテストステロンは、「アロマターゼ」という酵素によって、エストロゲンに変わる」と書きました。アンチアロマターゼ剤は、その「アロマターゼ」の働きそのものを無効化する薬剤です。

アロマターゼが無効化されれば、アナボリックステロイドで大量にテストステロンを増やしても、無駄なエストロゲンが増えることはありません。副腎から分泌される微量な量のエストロゲンでは、女性化作用を引き起こすことができません。

多くの人は「ステロイド剤を使うと、ほぼ確実に女性化乳房が起きる」と勘違いしています。しかし、実は、女性化乳房は、あまり起きない「レア」な副作用なのです。

65歳から80歳までの老人31人を対象に、オキシメトロン（アナポロンの主成分）を12週間投与した研究がありますが、誰も女性化作用を発症しませんでした。（出展1）

また、テストステロン・エナンセート（代表的なアナボリックステロイドの一つ）を健康な成人61人に投与した研究でも、誰も女性化作用を発症しませんでした。（出展2）

上記の研究の投与量は、いわゆるステロイドユーザーが使用するのと遜色ない量です。にもかかわらず、女性化作用は起きていません。

ステロイドというと、「女性化乳房」の印象があると思いますが、レアな副作用だといえます。

ただし、レセプターの反応は人により異なり、少しの刺激でも、女性化作用が起きてしまう人もいます。万が一発症して、ひどくなった場合には、整形手術で治すしかありません。したがって、ケア剤は用意しておくべきでしょう。

アリミデックスは効果的なのですが、値段が非常に高いので、ケア剤として、ノルバデックスを要しておけば万全です。

ノルバデックスは保険のためのケア剤ですから、「あまりコストはかけたくない」という人もいるでしょう。そんな方にはジェネリックがオススメです。もちろん、成分は同じですから、効果も同じです。

私はジェネリックの方を利用した経験がありますが、効果を実感できました。それまで乳首にひりつくような軽い痛みがあったのですが、これを飲んだ3日ほど後におさまったからです。ジェネリックですが、同様の効果が期待できるはずです。