アナボリックステロイドの副作用「ロイドレイジ」とは何か?

アナボリックステロイドの副作用

アナボリックステロイドによる副作用として、よく知られているものの一つに「ロイドレイジ(ステロイドによる攻撃性の増加)」というものがあります。

ステロイドサイクル中は、積極性・攻撃性にかかわるテストステロン(男性ホルモン)が高まるので、ステロイドを服用すると、まるでバーサーカーのように攻撃的な人間になってしまうというのです。

さて、これだけ聞くと、「いかにも起こりそう」という感じがしますよね。でも、この副作用、本当に起こるのでしょうか?

実は、ロイドレイジは「デマ」である

結論から言えば、ロイドレイジ(ステロイドによる攻撃性の増加)は偽りの神話、つまりデマだということが研究により示されています。ステロイドを使った所で、攻撃的になるわけではないのです。

テストステロンを投与した場合の心理への影響を調べた実験

実際に、「テストステロン(アナボリックステロイドの一種)を投与することで、攻撃性は増加するのか?」を検証した実験があります。これは109人以上の健康な男性を対象にした研究で、テストステロンの投与量ごとに、攻撃性の増加を検証しました。※出展1

投与量は500mg〜600mgと、通常のアナボリックステロイド服用者の投与量とか変わらないレベルの量が使われています。さて、どうなったか?

結果が上記の表です。テストステロン500mgでは18人中1人、テストステロン600mgでは、50人中、2人、全体では109人中、5人にしか攻撃性の増加は認められていません。

つまり、「ロイドレイジ」は、全体の5%の人にしか起きていないことがわかります。

5%という数字は、科学的に有意な数字ではありません。プラセボ(偽薬)でも出せるような効果といえます。つまり、アナボリックステロイドと「ロイドレイジ」の因果関係は、科学的には全く証明されていません。つまり、「デマ」の一つといえるでしょう。

テストステロンは「攻撃性」のホルモンではない

イメージから、テストステロン(男性ホルモン)は、攻撃性をつかさどるホルモンとされていますが、単純にそうも言えないことがわかっています。

たとえば、ボクシングなどの格闘技をやらせたり、サッカーなどで対抗試合をさせるよりも、共同で畑の開梱作業をした方が、圧倒的にテストステロン値が向上することが研究により示されているのです。

つまり、「テストステロン=攻撃性」のような単純な捉え方自体が、ズレているというべきでしょう。

繰り返すように、アナボリックステロイドと「ロイドレイジ」の因果関係は、非常に弱いです。

なぜステロイドユーザーの暴力事件が起きるのか?

このビデオは、アナボリックステロイドを服用し、数年で獣のような筋肉を手に入れた男性のビフォアー・アフター画像です。この男性は、動画の数年後、警察官に暴力をふるって逮捕されることになります。

既に述べたように、アナボリックステロイドと、暴力性の相関関係は否定されています。したがって、アナボリックステロイドの副作用とは考えにくい。では、なぜ暴力事件を起こしてしまうのか?

おそらく、筋肉をつけることで、気が大きくなって気が大きくなるからでしょう。

心理学の研究によって、大型車(トラックなど)に載るほど、危険で自己中心的、威圧的な運転をするようになることがわかっています。大型車の大きさを「自分の強さ」のように錯覚してしまうからでしょう。

同じような理屈で、細かった少年が、獣のような筋肉をつけることで、「俺は強いんだ」と横暴な振る舞いをするようになるのではないか?と考えています。

ロイドレイジを恐れる必要はない

このサイトは、アナボリックステロイドの副作用について限りなく、詳しく書いているつもりですが、ロイドレイジについては「全く心配する必要がない」副作用だといえるでしょう。

日本でも、ボディービルダーの岩間勧による殺人事件などがありますが、彼は覚せい剤の濫用者でしたから、そちらの原因を疑うべきでしょう。